2013/03/29

【読書メモ】10万年後の未来地球史

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二酸化炭素で満たされた温室の中で栽培する事で作られた、炭素14を含まない「完璧に安全な」野菜が販売されているらしい。放射性炭素処理済み野菜?ネタではなくて?


植物は炭素を選り好みするので、重い炭素13,14は少なくなっている。時間の経過もあり、化石燃料に蓄積された炭素からは重い同位体が少なくなる。つまり化石燃料をガンガン燃やす事は、大気中の炭素13,14の濃度を下げることになる。この現象を「スウェス効果」と呼ぶ

その結果、未来の歴史学者が我々の時代の年代を放射性炭素年代測定法で測定するのは容易なことではなくなる。また、今日の歴史記録の大半は、ほとんどが電子化されているために結局は失われるだろう。

化石燃料の大量の消費によって起こる放射性炭素年代の崩壊は、種を絶滅させる訳ではないし、放射性物質が減るという点では健康にとってはありがたいことではある。しかし放射線炭素による年代の特定は難しくなり、我々の生きた時代は歴史から丸々失われる事になるかもしれない。

パースペクティブな視点に立てば、化石燃料は「コストの低い地球のサーモスタット装置」と考える事ができる。エネルギー源としてではなく、氷河期の到来による人類滅亡を回避するための手段として、化石燃料を後世に残すべきなのではないか。


私は、不運なことに、時の反対の端に生まれたので、先から反対向きに生きていかねばならない。 T・H・ホワイト「永遠の王」マーリンの台詞より

温暖化 → 北極の氷とける → 白熊かわいそう! というのはあまりに短絡的である。

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10万年の未来地球史 気候、地形、生命はどうなるか? http://amazon.co.jp/dp/4822249328

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